港区女子とは呼ばせない。

港区に住む私の恋愛事情。「真の港区女子」の日々を描くブログです。

プラトニックラブは存在するのか?

世間には、

プラトニックな関係のカップルがいる。

 

一方で、性生活も大事だと考える人は

男女共に少なくない。

 

一体、幸せになるためには

どちらの選択肢が正解なのだろう。

 

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理想的な彼氏だった佑介に

突然別れを告げられ、心の傷が癒えない私は

友人に男性を紹介してくれと頼み込んだ。

 

私の好みは、

スポーツマンで体格のしっかりしている人。

 

女友達のマナは、

大学の同じクラスに私好みの友人がいるから

今度食事に行こうと場を取り持ってくれた。

 

 

 

会ってみると、

まあストライクゾーンではないが

体格が良くOKライン。

 

性格はとても優しく、

気の利く人だった。

 

 

 

その日の帰り際、

お互いの連絡先を交換し、

すぐに彼からデートのお誘いが。

 

まだズタボロだった私は、

とりあえず承諾した。

 

 

 

まるで作業をこなすように

数回デートして、付き合うことに。

 

なぜか私はホッとした。

 

 

 

 

しかし付き合ってからではじめてのデートで

私は異変に気がついた。

 

彼の方から、

キスもされなければ手も繋がらない。

ボディタッチすら無い。

 

いわゆるプラトニックな関係になっていた。

 

 

 

この状態が1ヶ月続き、

不満に思えてきたので

思い切って彼になぜか聞いてみた。

 

帰ってきた回答は

「梨里が大切だから」。

 

 

 

 

意味が不明である。

正直私は、こういう所は

男性にリードして欲しかった。

 

なぜなら、

リーダーシップと

決断力のある男性が好みだからだ。

 

 

 

しかも、自分で言うのもだが、

私は英語が堪能。

 

どうもそれに引け目を感じているようで、

しょっちゅう認めて欲しいとばかりに

新しく覚えた英単語を自慢して来る。

 

 

 

弱々しいったらありゃしない。

 

 

 

彼の頼りなさに愛想を尽かし、

付き合って3ヶ月で

別れを切り出した。

 

その時の彼の機嫌の悪さたるや

恐ろしいものがあった。

 

 

 

こうして私は、

またパートナー探しの旅路についた。

 

 

この時から4年経ち、

恋愛で辛酸を舐めきってから気がついた。

 

彼の言葉は本当だったのかもしれない。

私は、自分を心から愛してくれた人を

つまらない理由で切り捨てたのかもしれない。

 

体の関係だけ求めて来るような

クズ男に翻弄された事もあるが、

彼はそんなことしなかっただろう。

 

しかし、彼と私は

求めるものとタイミングが合わなかった。

誠実そうな男性、弄ばれる女性

男女関係の世界においては、

裏切りというのが蔓延っている。

 

女性は男性に振り回され、騙され。

男性は女性に弄ばれ、散財したり。

 

それでも不思議と私達のような女性は、

一度付き合った恋人には、

全幅の信頼を寄せたいと思ってしまう。

 

 

私達は、歴史や経験から学べない

バカなのだろうか?

 

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大学1年の時、

外見を含め性的な魅力が無い男性とは

お付き合いなど不可能だと学んだ。

 

痛い経験を経て、

自分が性的魅力を感じ、

そして会話していても楽しい男性はいないかと

周りを見渡してみた。

 

退屈な大学の講義を聴きながら、

教室を端から端まで見てみたが、

なかなかパッとしない。

 

少し離れた所にいる体育会の彼は

見た目は好みだが話ていて楽しくない。

 

前の方に座っている彼は、

考え方や話は面白いのだが

1ミリも性的魅力を感じない。

 

 

 

こうして、特に大きいニュースもなく、

ダラダラとした日々を過ごしていった。

 

元々刺激を求めてしまう性格上、

こんな毎日には耐えられなかった。

 

 

 

そうこうしているうちに、

9月に20歳の誕生日を迎えた。

 

20歳になればもう成人。

でもなぜか、

一歩も成長していないように感じた。

 

 

 

刺激もない、成長もない。

こんなのは私にとって完全NGな状況。

 

焦った私は、前から憧れていたLAへ

大学2年の春休みに短期留学へ行くと決めた。

 

 

 

せっせと準備を進めるうちに、

人生に一度しかないとっておきのイベント、

成人式の時期になった。

 

綺麗な紫の振袖に身を包み、

目黒区の成人式会場へ。

 

 

 

会場で、小学生の時からの親友である

百合子と落ち合った。

 

百合子は小学生の時からとても美しい。

背丈がすらっと高く、小顔で、

笑顔が素敵な女性になった。

 

 

 

式典が終わり、二人で外へ出ると、

もう8年も会っていなかった

小学校の同級生達に出くわした。

 

懐かしさで気分が高揚し、

全員で集まって写真を撮ったりしていると、

夜に同級生で集まりパーティをする事に。

 

 

 

久々のメンバーと会うのは、

女性にとってとびきりのおめかしをする口実。

 

一度自宅へ戻り、振袖から

ブラックのカクテルドレスへ着替えた。

 

身なりをキメて、気合いを入れて会場へ。

 

 

 

 

会場に着くと、古い顔が揃っていた。

皆んな大人っぽくなり、

男女ともに昔はなかった色気が出ていた。

 

 

 

数々の懐かしい顔に、

"梨里、凄い綺麗になったね!!"

と声をかけられる。

 

美人の百合子と一緒に居るからか、

妙に周囲の注目を集めていた。

 

 

 

これだけでも、

キメてきた甲斐があるというもの。

自尊心が満たされて、大満足だった。

 

少し酔い、いい気分になったので

少し会場の外にある庭に出てみた。

 

 

 

 すると、スタンディングテーブルの隣に

どストライクなタイプへと進化した

同級生の佑介の姿があった。

 

酔いのせいか彼の魅力のせいか、

自然と足が彼の方向へ。

 

 

 

頭が火照ってしまい

何を話したのかは思い出せないが、

彼の色気のある姿が記憶に残った。

 

 

 

 

3ヵ月程経った時、

急にFacebookで彼からの連絡が入った。

 

「久しぶり!最近忙しい?

今週金曜日の夜空いてたりしないかな。」

 

この言葉に対して、

私の頭はブンブンと回転し始めた。

 

 

 

そもそもどういう意図での質問か?

急な連絡だし、デートの誘いではないだろう。

安易にOKするのは危険かもしれない。

 

「まあまあ忙しい、金曜日は厳しいな、、

どうして~?」

結局着地したのはこの返信内容。

 

 

 

ラグビー部の新歓があるからさw」

 

私の勘はどうも正しかった。

あっさり空いているなんて答えたら、

ただの飾りの女の子になっていた。

 

対して私は、

「そうなんだ、ラグビー頑張って!」

とさらりとやり過ごした。

 

 

 

これで終わるかと思いきや、佑介から

「この前は全然話せなかったなー」

との返事が。

 

なぜかどきりとした。

「ほんとだね、佑介成長しててびっくりだよ」

とっさに私は、こう返していた。

 

 

 

「お前も綺麗になったよなー」

とすぐに返ってきた。

 

 

脳味噌爆発の瞬間である。

 

 

頭脳停止。

何が起きたのか理解できない。

 

 

 

既読を付けてしまったから何か返信しなければ。

「急に言われたら照れちゃうよ、

佑介もな背が伸びたよね!」

 

 

「ありがと、今度お前の作ったご飯食べてみたいわー」

と佑介から。

 

 

佑介は宇宙人なのだろうか?

何を言ってるんだ?

 

 

よく理解できないままなぜか防衛本能が働き、

「だねー、みんなでご飯行きたいねー」

とお門違いな回答をしてしまった。

 

 

 

「お前、警戒してんだろw」

 

 

 

まさかの図星である。

 

あたふたしている間に、

さらりと二人で食事に行く約束が取りつけられていた。

 

 

 

後日、青山で待ち合わせることに。

彼がお店の予約をしてくれていた。

 

彼に誘導されるがままにお店の入口に辿り着くと、

落ち着いた雰囲気の和食屋さんだった。

随分と粋な選択に、感銘を受けた。

 

 

 

彼のしぐさや趣味の良さに、

脳がノックアウトされてしまった。

 

 

 

 

この日は食事が終わり、

各々の帰路についた。

 

 

 

その後、三回目のデートの時、

私は彼に、私の作った食事を食べたいと言われ

かなり驚いたと告白した。

 

「だって本当にそう思ったから」

 

こんな風に言われたら、

作ってあげたくなってしまう。

 

 

 

そして、彼が私の家に来ることに。

私はできる限り美味しいものをふるまった。

 

その晩の食事は、

お互いが将来どうしていきたいかや、

自分達の友人などについて楽しく話した。

 

 

 

今までで最も楽しいデートになった。

 

 

 

しかしまだ彼に対する警戒心が残っていた。

なので、その晩は何も起こらず

別々に寝ることに。

 

なぜか、いつもより心地よく眠った。

 

 

 

 

朝のアラームが鳴り、

私は朝食の支度を始めた。

 

少しすると佑介も起きてきて、

リラックスしながら朝食をとった。

 

 

 

「あっそういえば。」

 

そう言って佑介が、

おもむろにポケットから

ネックレスを取り出した。

 

 

 

「食事作ってくれたし、もうすぐホワイトデーだし。

ちょっと待ってて、つけてあげるから。」

 

そう言って彼が私の後ろに回り込んだ。

そして丁寧にネックレスをつけてくれた。

 

 

 

このネックレスが、

4℃のような可愛いらしいものではなく、

私好みのカジュアルでスタイリッシュなものだった。

 

 

 

こんなに幸せな事があり得るだろうか?

体がすーっと浮いて心地良いような感覚になった。

 

 

 

できる限りのお礼を言った後、

使い終わった食器を片付けようとした。

 

あろうことか、佑介が

「俺が片付けるよ、大丈夫」

と言ってきた。

 

 

 

ここまで素晴らしい男性が世の中に居たとは。

成人式のパーティへ誘ってくれた神様に感謝だ。

 

 

 

帰り際、今度は彼が

「そういえば、LAに俺のお母さんの親友が居て。

多分梨里が居る時にお母さんも行くと思う。

会ってきなよ。」

 

また私には理解不能な事を言い始めた。

しかし嬉しい話でもあった。

 

少なくとも、どうやら私は本命なようだ。

 

 

 

こうして、LA出発前の

幸せな日本でのデートが終了した。

 

 

 

 

 

2月でもノースリーブでOKなLAに到着し、

私は思う存分南国気分を味わった。

 

留学先の学校でも様々な国からの友人ができ、

初めての寮生活も満喫した。

 

週末は友人とサンタモニカで遊び、

充実した毎日。

 

 

 

よく日本人はモテるというが、

まあ多くの人にデートへ誘われた。

 

それでも私は、

日本にとても良い彼氏がいるから、

と言って断っていた。

 

 

 

数週間後、いよいよ彼のお母さんと

彼女の親友に会う日になった。

 

その日のディナーは、

私の寮からそう離れていないレストラン。

 

 

 

歩いていくと、

既に彼女たちは到着していた。

 

まあとても綺麗でお洒落な方々だった。

話も面白く、素敵な方々。

 

 

 

少しお酒が入ってくると、彼のお母さんが

「佑介が彼女紹介してくるなんて初めてよ~、

いい子でよかったわ!!」

 

内心色々な意味で舞い上がってしまった。

 

 

 

彼女たちに日本食が恋しいと打ち明けると、

近くの日本人街にあるNijiyaというスーパーへ

送って行ってくれた。

 

この日、私の佑介に対する思いは

さらに強くなった。

 

 

 

 

楽しい時間は早く過ぎ、

帰国する日になった。

 

 

 

早速佑介へ、あと数時間で日本に到着すると伝えた。

 

数時間後、

「じゃあ帰国パーティだね」

と返信が来た。

 

彼に会うのを楽しみにしていた私は、

「ありがとう、いつにしようか?」

とすぐに返信をした。

 

 

 

...返信が来ない。

1日経ち、まだ返信が来ない。

 

 

 

嫌な予感がした。

信じ難かった。

信じたくもなかった。

 

 

 

 

1週間経っても返事がないので、

「忙しいの?」と連絡を入れた。

 

次の日の朝、大学の授業の直前で

待ちに待った彼からの返事が来た。

 

 

 

"梨里がいない間、寂しいと思わなかったんだ。

変に長く続けるより、もう今別れよう。"

 

 

 

私の胸を鋭く引き裂く言葉。

心を一突きし、棘を残していった。

 

 

 

感情が安定した性格の私が、

目をむくほど取り乱していた。

 

授業など受けていられる精神状態では無い。

 

 

 

教室から駆け出し、

友人のいるであろう場所へ

逃げるように駆け込んだ。

 

そこに、見慣れた顔の

気の置けない友人達がいた。

 

 

 

自分にこんな友人がいることを

ここまで嬉しく思ったことはない。

 

安堵感と悲しさで

小学生以来で初めて

人前で涙を流した。

 

 

 

 

結局、私が全幅の信頼を寄せるべきは

真の友人なんだという事を学んだ。

 

でも、佑介からもらったネックレスは

数年経った今でも捨てられない。

外見より中身…? - "いい子"からの卒業

人は見た目で判断するな、中身を見なさい。

という事は、この文明社会の中で、

私達の脳に半強制的にインプットされている。

 

恋愛も例外ではない。

中身で判断する子=いい子

この方程式がある。

 

ではなぜ、大抵イケメンの彼女は美人、

美人の彼氏はイケメンなのだろうか?

 

男性の場合、外見はそこそこでも

お金と地位があれば、

美人の彼女をゲットできている。

 

私達は果たして、

社会的ルールに従って、

"いい子"でいなければいけないのか?

 

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中学の時、

私を見捨てたデートの相手を見返そうと、

慶應へ行こうと心に決めた。

 

そして晴れて、

慶應義塾大学法学部政治学科へ入学。

 

経済学部へ行った彼より、

偏差値の高い学科に受かった事で

私の復讐心はある程度満たされた。

 

 

 

大学生活の初日、

キャンパスへ赴くと、サークルの勧誘で

校内はてんやわんやの大騒ぎ。

 

元々音楽好きの私は、

とあるバンドサークルに入る事に。

 

ギターをかじっていた私は、

大学でもギターを担当。

 

 

 

サークル生活が始まり1ヶ月ほど経った頃、

群を抜いてギターが上手く、

頭脳も明晰な先輩が現れた。

 

この人は物事の捉え方が人とは違っていて、

他のサークルメンバーとは

一線を画す何かがあった。

 

他とは違う輝きを持った彼に、

私は一瞬で興味を持った。

 

 

 

新生活とともにもたらされたこのチャンスを、

逃すわけにはいくまい。

 

そう思い、私はネットで

ありとあらゆる恋愛テクニックを探した。

 

あるブログから、どうも男性というのは

女性に何かを教えるのが好きらしい、

という事を学んだ。

 

 

これは使える。

なにせ、彼の方がギターが上手く

頭脳明晰なのだ。

 

簡単な話だ。

 

 

 

早速サークルメンバーで集まっているときに、

サラッと彼の隣に腰を下ろした。

 

さあ、ネットで得た武器を思う存分使う時だ。

 

「毎日、どんな練習をしてるんですか?

上手すぎて、音が生きてるみたいで。

私が弾く時とはまるで音が違います、、」

 

なんて、ちょいっと上目遣いでおだてつつ、

教えをこうように話しかけた。

 

 

まあこれがびっくりするほど効果てきめん。

彼は喜んで指のトレーニング方法等について

凄い勢いで語り始めた。

 

正直細かいギターの知識はどうでも良かった。

しかし、私の狙いはそこではない。

目標達成のための辛抱だ。

 

 

ここからはドミノ倒しよろしく、

順序正しく早急に事が進んだ。

早速デートの誘いを受けたのだ。

 

 

 

初回のデートは、キャンパス付近の

こじんまりとしたイタリアンだった。

 

食事中、私はこれでもかというほど

彼の能力を褒め、話をとことん聞いた。

 

まるで馬鹿の一つ覚えだが、

魔術の如く彼の意思を操る事ができたのだ。

 

 

 

食事が終わると、

なんだか彼がそわそわしている。

 

私はもうこの時点で、

自分の勝利を確信していた。

 

 

「あの、、まだ出会って間もないのは

分かってるんだけど、、

好きになっちゃってね、

付き合ってもらえると嬉しいんだけど、、」

 

 

とてつもなく謙虚な告白だ。

目標を達成した事に小躍りし、

その場ですぐOKの返事をした。

 

 

 

彼は大学へ一度戻るとの事で、

私は一人で帰路に着いた。

 

夜道を一人で歩き始めると、

脳裏に妙な影がさした。

よく分からない不安感に襲われた。

 

 

 

大学から自宅までは電車で30分程度、

その間車内の椅子に腰を下ろし、

この変な感覚の原因を考えた。

 

すぐさま、彼と付き合うという事実に

違和感がある事に気がついた。

 

 

 

その理由は至って簡単だった。

今まで目標達成に必死で気がつかなかったが、

彼の外見が全く好みではなかったのだ。

 

頭が大きめで、ぽっちゃり体型。

顔も整っておらず、変に目が小さい。

とにかくイケていない。

 

 

 

しかし、"いい子"の方程式によると、

私は正しい判断をした事になる。

彼の中身で判断したのだから。

 

そういって不安な気持ちを抑え、

自分の事を褒めてやった。

 

 

 

彼とは数回デートを重ねていった。

ある時新宿で夕食をともにする事に。

 

場所柄もあるだろう、夕食後、

世のカップルの一大イベント、

初の情事へ至った。

 

 

 

私にとってはこれが人生初。

大人の階段を上る気分で、

少しくすんだ期待感と嬉しさを覚えた。

 

 

 

一通り終了し、結論は一言。

気持ち悪かった。

 

 

 

初めての情事だからと言うものではない。

そもそも彼に、性的な魅力を一切感じた事が無いのだ。

 

それ以来彼を生理的にに受け付けなくなった。

破局の訪れである。

 

 

 

結局"いい子"の方程式は、

偽善的な大人達の言い訳に過ぎなかった。

 

 

 

人間には、子孫を残すための本能がある。

その本能が、直感的に遺伝子が優れ、

生存能力の高い相手を選び出す。

 

つまり、外見的な魅力も伴わなければ、

本能がその相手を選ばないのである。

 

悲しい事実だが、

恋愛相手は中身だけで選べるものでは無い。

 

 

 

この事に気が付いた時、

"いい女の子"からの卒業を決めた。

 

自分に正直である方が、

社会的に決められたルールに従うより

幸せになれると思ったから。

 

いい子と思われたところで、

何の得にもならないのだ。

失われた純粋な心、生まれた上昇志向

世間には、純真無垢な恋愛を描く物語が多い。

決まって、女性側はとてもピュアな性格で

お相手の男性を一途に思い続ける。

 

そしてまあ、結末には結婚か死別か。

そんなところ。

いずれもハッピーエンドが主流だ。

 

でも、本当に純粋であれば

こんな幸せな恋愛ができるのだろうか?

 

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私の中高は、都内のあまり偏差値が高くない女子高。

 

女子高では、ときめく恋愛相手を見つけるため、

皆せっせと名の通った男子校の文化祭へ足を運ぶ。

 

 

中学3年の11月私は、

顔良し、背丈良し、頭脳良しで将来有望な

理想の相手を探しに某高校の文化祭に訪れた。

 

大抵文化祭にはナンパエリアがあるのだが、

恋愛経験無しの私には少々ハードルが高かった。

 

 

ドギマギしながら、理想の彼氏を探すため

友人とお化け屋敷を催している教室へ。

このお化け屋敷が、思いのほか相当怖い。

 

やっとのことで迷路状になっている通路を抜けると

頑張った事への神様からのご褒美か、

お化け屋敷の制作に携わった男子達がお出迎え。

 

 

「楽しかった?ところで、ライン教えてよ。」

ベタな決まり文句でも、ピュアな女子には効果てきめん。

ちゃっかり連絡先を教え、連絡を待つ。

 

「この前は来てくれてありがとう。ご飯にいこうよ、いつが空いてる?」

期待通りのデートの誘い。

早速予定調整の返信をして、渋谷で会うことに。

 

 

 

文化祭の時には、お化け屋敷で脳が興奮していたこと、

そして初めて男子から連絡先を聞かれて舞い上がっていたことで、

相手の顔と姿をまともに認識していなかった。

 

渋谷の安いパスタ屋で会ってみると、

身長は低め、顔もまあまあ。

総合的に見て、容姿は正直私の方がレベルが上かな?という感じ。

 

 

とはいえ、人生初のデート。

相手を尊重し、興味を持って色々話を聞いてみた。

 

話してみるとなかなかに頭が良く、

相手は高校3年で、東大を目指しているとのこと。

素晴らしい将来性だと感じた。

 

見た目で相手を判断するのは良くない、

彼の中身を尊重して、東大合格の応援をしよう!

そう心に決めた。

 

 

 

その日からほぼ毎日、彼の勉強の報告をラインで受け、

それに対して様々な応援の言葉をかけていた。

 

そうしていれば、

彼からの好意をキープし、さらに彼の東大合格も実現すると思っていたから。

 

 

 

年が明け、センター試験の時期になった。

センター試験の結果が発表され、

彼からはほぼ全て満点に近い点数を取ったとの報告があった。

 

すべて順調だ。

私の健気な応援も効いたのかもしれない。

なぜか、自分の事のようにうれしかった。

 

彼が受験で忙しいのでしばらく会っておらず

正直寂しい思いがあったのだが

これで吹き飛んだ。

 

 

 

時が過ぎ、慶應、早稲田、東大

全ての入学試験が終わった。

 

遅めの朝食を食べながら新聞を読んでいると、

「今日は東大の試験結果が出る日」

と案内されていた。

 

どきりとした。

携帯に何の連絡も入っていないからだ。

 

怪しい。

午後になっても連絡がない。

 

受かったならば、すぐさま連絡が来るだろう。

私は、彼が落ちたのだと悟った。

 

待てど暮らせど、連絡が来ない。

 

しかし私は、彼のプライドのためにも、

連絡をあえて控えた。

でも、内心気が気ではなかった。

 

 

 

1週間経ち、やっと彼からメッセージが。

慶應の経済学部に行く」

とのことだった。

 

それだけだった。

その他には何も。

 

度重なる受験で、

暫く会っていなかったのに。

 

こんなに応援してきたのだ、

受験が終わったならまた会いたい。

 

私は、彼も同じ気持ちだと思っていた。

内心彼の方からの誘いを期待していた。

 

なのに、メッセージはたったその一言だった。

 

なぜか悔しくなり、

私の方からそろそろ会おうと返信をした。

 

 

 

2時間後、返信がない。

1週間後、まだ返信がない。

 

彼からの愛情を期待して、

健気に、純粋に、

応援してきた。

 

その期待が、

最後の最後で裏切られた。

 

恋愛ドラマならここで涙が出るところだが、

なぜか涙はなく、胸の痛みだけが残った。

悔しさの一言だった。

 

そして私は、

もう無駄に彼からの愛情を期待するのをやめた。

 

 

 

5か月ほどたち、

私はもうとっくに彼への感情を忘れていた。

 

携帯が鳴り、見てみるとまさかの彼からの電話だった。

 

「長い間連絡できてなくてごめん。

大学へ入学して、色々忙しかったんだ。

今週末空いてたら遊びに行こうよ」

 

私の頭は怒りで破裂しそうだった。

 

 

あんなに健気に応援してきて

受験が終わるまでわがままも言わず

ただひたすら彼からの連絡を待っていたのだ。

 

それを、5か月もたってから連絡してきて

簡単にごめんというとは

私の気持ちがどんなに傷ついたのかわかっているのか?

 

しかも、きっと連絡してきたのは私を好きだからではない。

生活が落ち着き、大学では彼女ができず

暇で時間を持て余してしまったからだ。

 

 

 

純粋だった私は、

単なる都合のいい女枠へ入れられていたのだ。

 

怒り、屈辱、悔しさの気持ちが

私の胸を痛めつけた。

 

 

 

私はやっと気が付いた。

「バカな女だった」という事に。

 

そして私は次に決心をした。

「彼以上のレベルになり、見返してやろう」と。

 

いい女を逃したと思わせてやろうと。