港区女子とは呼ばせない。

港区に住む私の恋愛事情。「真の港区女子」の日々を描くブログです。

女が夢中になれば男は離れる

小さい頃は、

人生で最高の恋愛をした相手が

生涯の伴侶になると思っていた。

 

だが世の中はもっと複雑。

女は男に追われるべきだなんていう

難しい条件が付いていた。

 

でも、

涙を流すほど相手を好きになってしまったら?

 

女の私達は一体どうしたらいいのか?

 

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刺激の無い恋には別れを告げ、

ピリ辛なスパイスを求め

友人が主催の広尾でのパーティに参加した。

 

会場は、友人とそのまた友人が

airbnbで借りたという豪邸。

 

会場に着いてみると、

日本人と外国人のごった混ぜで

お洒落な雰囲気が漂っていた。

 

 

 

 

1階のバーカウンターでお酒を嗜んでいると、

隣に座っていたフランス人の女の子に

ワインの事について話しかけられた。

 

どのタイプのワインが好きか

楽しく議論が進んだ。

 

 

 

煙草を吸う彼女は、

私を屋上の喫煙可スペースへ

誘ってきた。

 

外の空気も吸いたかったので、

私も屋上のテラスへ。

 

 

 

上がってみると、

パーティ参加者の中でも

飛び切りお洒落な人達が固まっていた。

 

グループへ入っていくと、

vogueにでも出てきそうな

フランス人の美男子にアプローチされた。

 

今日はついている!

そう思ったが、見た目倒しで

どうも頭の中がお花畑だ。

 

 

 

私が次の出会いに求めていたのは、

男性らしさと聡明さ。

 

 

 

時間を無駄にはできない。

すぐにフランスの彼の隣を去った。

 

 

 

ワインを数杯飲んで

お手洗いに行きたい気分だったので

下の階へ降りてお手洗いへ向かった。

 

先客がいたので、

目の前にあったソファに腰掛け

お酒で高揚した気分を楽しんでいた。

 

 

 

その時、目の前に

快活に笑いながらも知性を感じる

今までに会ったことの無いタイプの男性が

私の友人の元へ歩いて行くのが見えた。

 

 

 

次に起こすべき行動は

既にわかっていた。

 

友人に話しかけ、

偶然を装って彼に挨拶する。

 

 

 

脳からの指令に従い

私は適切な行動を起こした。

 

 

 

彼の名前は龍一、

アメリカの大学に在籍しているが

春休みなので帰国しているとのこと。

 

彼の目は自身が溢れ、

将来を見据えてキラキラと輝いていた。

 

 

 

なぜか人を惹きつけ、

愛されるような人だった。

 

 

 

自分自身の功労を讃えながら

彼との会話を楽しみ、

連絡先の交換に成功。

 

夜の25時になり、

後ろ髪を引かれながら

私は帰宅した。

 

 

 

 

朝の10時に目がさめると、

例の彼から連絡が。

 

直近で夕食に行ける日はあるかとの事。

 

 

 

 

彼が品川のホテルに泊まっているので

品川で食事をすることに。

 

当日、品川駅で待ち合わせ。

いつでも、初めて2人だけで会う日というのは

特別なものだ。

 

 

 

高揚した気分をなんとか抑えながら

クールに振舞っていると、

ある事に気がついた。

 

こんなに、話していて心地よく、

何よりも楽しいと思うのは

初めてだという事に。

 

 

 

今までも楽しかったが、

どこか気を使っている部分があった。

 

それが、彼と話していると

素の自分で居られる。

 

 

 

これには何か意味があるはず。

 

 

 

暫くして、彼が数日後から

外資金融でインターンをすると聞いた。

 

そのために、近場のマンスリーマンションへ

宿泊先を変えるとの事だった。

 

 

 

近場の事を良く知る為という名目で

東京駅周辺でデートをする事に。

 

散歩がてら

ウィンドウショッピングをし、

彼の親友がバイトしているという

無印良品へ。

 

 

 

商品を見ながら龍一は、

私が目を落としてしまうようなもの一つ一つに

それぞれの面白さを見出しては

熱意を持って私に良さを伝えてくれた。

 

全く目新しい物を知る気分で

幸せな楽しさを感じていた。

 

 

 

様々な椅子を陳列したエリアに着き、

2人で低反発の椅子を試した。

 

目線を同じにして、

龍一と目を合わせた。

 

 

私はつい、

彼みたいな人と結婚したら

幸せになれるのだろうと感じた。

 

 

 

こうしてデートを重ね、

晴れて龍一と付き合うことに。

 

 

 

しかし彼は、

大学のためにあと2ヶ月で

アメリカへ帰らなければいけない。

 

最高に幸せな恋愛には

期限がついていた。

 

 

 

 

せめて一緒に居られる時間で

忘れられない思い出を作ろうと

湘南の七里ヶ浜へ行こうと誘った。

 

私と一緒で海が大好きな龍一は

忙しいながらも承諾してくれた。

 

 

 

 

夏日で太陽の眩しい日、

海沿いを2人で散歩。

 

ビーチに座って

龍一の目指している将来について

話を聞いた。

 

 

 

なぜか、彼の話を聞くたびに

彼への愛情が増していった。

 

 

 

こんな日々を一日、また一日と過ごし、

見まいとしていた彼との別れの日が

身に響くように近づいてきた。

 

 

 

自分のままでいられて、

幸福で笑顔が絶えない時間が

終わってしまう事が恐怖だった。

 

そして私は、失う恐怖から

どんどん彼に夢中になってしまった。

 

 

 

 

彼とは友達ぐるみで仲が良かったが、

ひょんな事から彼の親友と

2人で遊びに行く事に。

 

その時、

今まで無視していた現実を突きつけられた。

 

龍一はマメにFacebookをチェックする方だが

交際ステータスを"single"のままにしていた。

 

 

 

しかしもう彼が居なくなるまで

1ヶ月を切っていた。

 

 

 

そんな時、

マンスリーマンションを退去してから

彼がアメリカへ戻る便に乗る日の間

1日だけ泊まる場所がないと悩んでいた。

 

一応彼女であるはずの私は

自宅(実家)へ泊まる事を進めた。

 

 

 

龍一は九死に一生を得たように

私に感謝してきた。

 

彼からの感謝は

私にとっての幸せ、何の苦でもない。

 

 

 

そして当日、龍一を母へ紹介し

みんなバラバラに寝床へ。

 

起床すると、

朝に弱い龍一はまだ寝ていた。

 

 

 

起こしにいくと、

彼は起き上がって手を繋いできて、

一言、ありがとうと言ってくれた。

 

 

 

龍一との別れが辛く、

私は彼を成田まで送る事にした。

 

 

 

成田まで向かうバスの中、

2人で今までの事を思い出した。

 

再び幸福感に包まれ、

バスの中には2人しかいないような

心地よい気分になった。

 

 

 

どうあがいても時間は前に進む。

バスが成田に着いてしまった。

 

 

 

彼はチェックインを済ませ、

搭乗の準備を整えた。

 

龍一は、ギリギリの時間まで

私と一緒に居てくれた。

 

 

 

時間が過ぎ、彼は保安検査場へ。

その間も、何度も振り返ってくれた。

 

検査が終わり、ゲートへ向かうため

彼は下の階へ行くエレベーターへ。

 

 

 

下がっていき、お互いの姿が見えなくなるまで

休まず手を振ってくれた。

 

 

 

彼の姿が消えた。

抑えていた涙が吹き出してきた。

 

 

 

小学6年の頃から

人前では泣かないと決めていたが

抗えない程に感情が溢れ出した。

 

 

 

今までの思い出、彼の優しさ、

そして言いようもない幸福感。

 

 

 

これを思い出すと、

何故か悲しさではなく

変な嬉しさで涙が止まらない。

 

 

 

涙を収めるため

ベンチに腰掛けていると、

龍一からラインが来た。

 

この数ヶ月に対する感謝と、

これから進む別々の道への

希望の言葉だった。

 

 

 

思いがけぬ連絡に

また涙が溢れてしまった。

 

数時間後やっと帰路につき、

帰宅した。

 

 

 

母が心配そうな顔で出迎えてくれた。

 

母の"大丈夫?"の一言に

また涙の発作が。

 

 

 

不思議な事に、涙を流すたび、

自分がどれほど良い恋愛をしたか身にしみた。

 

 

この遠距離恋愛

続くことはなかった。

 

彼がFacebookでsingleとしていたのは

あくまで期限付きの恋だったからだろう。

 

私はその期限のせいで

冷静さを失ってしまっていた。

 

女が夢中になれば、

男は離れるという事なのだろうか、

だから彼は戻ってこなかったのだろうか。

 

感情を抑えてでも、

何も気にならないかのように振る舞うのが

きっと正解だったのだろう。